
確定申告は年明けからと思っていても、請求書やレシートを集めるところから始めると、思いのほか時間がかかります。年末までにできることと、年が明けてから確定することを分けておくと、今やる作業を選びやすくなります。
2026年分の所得税等は、原則として2027年3月15日(月)が申告・納付期限です。まずは今年の書類と帳簿をそろえ、年明けに決算・控除・送信の準備を進めましょう。消費税の申告が必要な個人事業者は、原則3月31日(水)が別の期限になります。[1][2]
この記事では、ひとりで事業の申告準備をする方に向けて、10月から翌年3月までの進め方を整理します。申告の要否は所得や控除などによって異なるため、売上額だけでは決まりません。申告が必要か迷う場合は、国税庁の案内で自分の条件を確認してください。[3]
- 2026年分の確定申告は、2027年に行う
- 年末から申告までの準備を5段階で進める
- 10~11月|書類・帳簿・申請状況の不足を見つける
- 売上と経費の資料を、月ごとにそろえる
- 青色申告は、ソフトを選ぶ前に申請状況を確認する
- 記帳する方法を決め、年末の入力先を増やさない
- 12月|年をまたぐ売上・支払い・在庫を確認する
- 入金日だけで、今年の売上を集計しない
- 経費は、支払った日だけで判断しない
- 在庫と事業用資産は、領収書の合計とは別に整理する
- 1月|決算・控除資料とe-Taxの準備をそろえる
- 書類を「帳簿」「控除」「送信の準備」に分ける
- カード・電子証明書と認証用アプリを早めに確認する
- 申告画面は「令和8年分」かを確認する
- 2~3月|申告書の数字・受付結果・納付を確認する
- 申告書を送る前に、帳簿から数字をたどる
- 提出したら、受付結果まで確認する
- 申告を終えても、納付は別に確認する
- 提出直前の確認は4つに分ける
- 個人事業主の申告準備でよくある質問
- 年明けまで、何も始めなくても大丈夫ですか?
- 会計ソフトを使わずに申告できますか?
- 2027年の申告で、青色申告の75万円控除を使えますか?
- まとめ|今月分の資料から、未整理を減らしていこう
- 参考にした公式情報
2026年分の確定申告は、2027年に行う
この記事の対象は、2026年1月1日から12月31日までの所得です。「2027年に申告する」ことと、「2027年分の所得を申告する」ことを分けて見ておきましょう。国税庁は、令和8年分の主な期限を次のように案内しています。[1][3]
対象 | 原則となる日程 | 確認しておくこと |
所得税・復興特別所得税 | 2027年2月16日(火)~3月15日(月) | 3月15日は申告・納付期限 |
個人事業者の消費税等 | 2027年3月31日(水)まで | 課税期間の特例等は別途確認 |
還付申告 | 2月16日より前でも受付可能 | 通常の申告期間と扱いが異なる |
災害等による期限延長など個別の扱いは別途確認してください。振替納税の振替日も法定納期限とは異なります。2026年10月15日時点で令和8年分の具体的な振替日は確定次第掲載とされているため、前年の日付をそのまま予定に入れないようにしましょう。[2]
年末から申告までの準備を5段階で進める
次の時期は当サイトの作業計画例で、法律で指定された作業日ではありません。すでに帳簿が整っている方は、完了の目安から未対応の項目だけを確認してください。
時期の目安 | 主に進めること | 次へ進める状態 |
2026年10~11月 | 保存漏れ・記帳漏れ・申請状況を確認 | 不足している月や資料が分かる |
2026年12月 | 年末の売掛金・未払分・在庫等を整理 | 12月31日時点で確認する項目が決まる |
2027年1月 | 年末残高・決算資料・控除資料をそろえる | 帳簿と資料を照合できる |
2027年2月 | 対象年分で申告書を作成・見直し | 金額の根拠を確認して提出できる |
2027年3月 | 提出・受付結果・納付を確認 | 提出と納付の確認、控えの保存が済む |
まだ何も始めていない場合は、直近1か月分の書類から着手して構いません。「全期間を一気に終える」より、未整理の月を見えるようにして、順番に減らしていきましょう。
10~11月|書類・帳簿・申請状況の不足を見つける
帳簿や必要書類をそろえるイメージ(写真AC)
売上と経費の資料を、月ごとにそろえる
請求書の控え、領収書、銀行・カードの明細などを月ごとに確認します。事業所得は総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。帳簿にある金額を何の資料から記録したか、後からたどれる状態にしておきましょう。[4][5]
通販や月額サービスの領収書は、Web画面から取得するものもあります。メールや管理画面に置いたままの電子取引データがないか確認してください。紙の書類とデータでは保存の扱いが違うため、保存の手順は次の記事で詳しく整理しています。
関連記事:電子帳簿保存法に沿った紙・PDF・メールの保存手順
青色申告は、ソフトを選ぶ前に申請状況を確認する
青色申告のソフトを契約しても、税務署への申請まで済んだことにはなりません。新たに青色申告をする場合、原則その年の3月15日までに申請が必要で、1月16日以後の新規開業には開業日から2か月以内などの扱いがあります。自分の開業日・申請状況を確認しましょう。[6]
すでに営業している方が、年末にソフトを導入するだけで2026年分を青色申告へ変えられるとは限りません。申請状況が分からない場合は、提出した書類の控えや税務署等で確認してから、申告の準備を進めると安心です。
記帳する方法を決め、年末の入力先を増やさない
会計ソフト、表計算、税理士への依頼など、誰がどこまで担当するかを決めます。今の方法で帳簿を作れているなら、そのまま仕上げることも選択肢です。ソフトを導入する場合は、データを移す範囲と入力の重複を確認しましょう。
12月|年をまたぐ売上・支払い・在庫を確認する
入金日だけで、今年の売上を集計しない
原則として、収入は年末までに実際に入金されたかだけで決まるものではなく、収入すべき権利が確定した金額で計算します。たとえば、2026年12月に権利が確定した売上の代金を2027年1月に受け取る場合、通常は2026年分の収入として確認する必要があります。[7]
取引の性質や契約内容によって計上時期は異なり、一定の条件を満たして現金主義を選択している場合などは扱いが変わります。12月分の請求書をまとめ、年末時点の未入金分を一覧にすると、自分が確認すべき取引を見つけやすくなります。[7]
経費は、支払った日だけで判断しない
必要経費も、原則として債務が確定した時期などを確認します。年内に払ったから必ず全額が今年の経費になるわけではなく、未払いでも今年の経費になるものがあります。年末年始をまたぐ外注費やサービス利用料は、請求対象の期間や契約内容を確認しておきましょう。[8]
自宅の家賃・通信費など事業と私用の両方で使う支出は、事業に必要な部分を明らかに分けられるかも確認します。前年と同じ割合を無条件に入れず、面積や利用状況など、分け方の根拠を残しておくと見直しやすくなります。[8]
在庫と事業用資産は、領収書の合計とは別に整理する
商品などの在庫がある方は、12月31日時点の棚卸高を確認できる資料を用意します。また、PCや機械などの事業用資産は、購入代金を一括で経費にするか、減価償却などで計算するかを確認します。金額の境目だけで判断せず、取得日・取得価額・使い始めた日をそろえましょう。[9][10]
この段階で、判断が必要な取引をメモに分けておくと、年明けに同じ資料を探し直す手間を減らせます。疑問点を残したまま入力を確定せず、税務署や税理士等への確認事項としてまとめておきましょう。
1月|決算・控除資料とe-Taxの準備をそろえる
書類を「帳簿」「控除」「送信の準備」に分ける
必要な書類は、所得の種類や利用する控除、提出方法で変わります。次の表は準備する資料の例で、全てを一律に添付する一覧ではありません。対象年分の手引きで、提出・提示・保存の区別を確認してください。[3]
準備するもの | 主な例 | 確認すること |
事業の帳簿・決算資料 | 売上・経費の記録、年末残高、棚卸・資産の資料 | 2026年分の数字と根拠が合うか |
他の所得の資料 | 給与所得の源泉徴収票など、該当する資料 | 事業以外の所得も申告対象か |
控除の資料 | 保険料・年金・寄附金・医療費など | 利用する控除の対象・金額・証明書 |
電子申告の準備 | マイナンバーカード、電子証明書、対応端末等 | 有効期限・認証方法・利用登録 |
カード・電子証明書と認証用アプリを早めに確認する
マイナンバーカード方式でe-Taxを利用する方は、カードと電子証明書の有効期限を確認します。国税庁の令和8年分案内では、マイナアプリへのアップデートと利用登録も案内されています。申告書を作り終えてから準備を始めるより、端末や認証方法を先に確認しておくと進めやすくなります。[11]
マイナポータル連携を使う場合も、事前準備と、証明書を発行する企業等が連携に対応しているかの確認が必要です。連携されたものだけで全ての資料がそろったと考えず、手元の書類や他の所得と見比べましょう。[11]
申告画面は「令和8年分」かを確認する
画像:国税庁「所得税の確定申告」のPC表示。2026年10月15日撮影の画像を再使用。画面には前年分の特集もあるため、申告時は対象年分を確認してください。出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei.htm
国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、申告書や青色申告決算書・収支内訳書等の作成とe-Tax送信ができます。年明けに利用するときは、2026年分に対応した画面・手引きが公開されているかを確認します。会計ソフトを使う場合も、対象年分への対応状況を見てから進めましょう。[11][12]
2026年10月15日現在のこの記事は、年末からの準備ガイドです。令和8年分の申告画面を操作・送信した結果ではありません。
2~3月|申告書の数字・受付結果・納付を確認する
申告書を送る前に、帳簿から数字をたどる
売上・経費・控除の合計を確認し、青色申告決算書または収支内訳書と申告書の入力を見直します。自動計算であっても、元の入力が正しいかは別です。大きく増減した科目、未入金の売上、私用が混ざった経費など、気になる部分から資料へ戻って確認しましょう。
報酬などから源泉徴収されている税額や予定納税額がある方は、その情報も確認します。確定申告では、これらの税額との過不足を精算します。入金額と源泉徴収前の金額を混同していないか、請求書等の根拠と見比べてください。[3]
提出したら、受付結果まで確認する
e-Taxでは、メッセージボックスの受信通知などで受付日時・受付番号や到達状況を確認できます。入力データを保存した段階と、申告データを送信して受付結果を確認した段階を分けておきましょう。提出後は申告内容と受信通知を確認できるようにしておきます。[13]
申告を終えても、納付は別に確認する
納める税額がある場合は、選んだ納付方法に沿って手続きを行います。申告書を出せば税務署から納付書や納税通知書が送られてくる、と待たないようにしましょう。振替納税など事前の手続きが必要な方法は、対象税目と手続期限も確認してください。[3]
納付日・振替日・口座残高など、選んだ方法に応じた確認を予定へ入れておきます。消費税申告も必要な方は、所得税と別に提出・納付の完了を確認しましょう。[1][2]
提出直前の確認は4つに分ける
段階 | 確認すること | 完了の目安 |
帳簿・決算 | 年末残高、売上・経費、控除等の根拠 | 不明な数字を残さず照合できる |
申告・送信 | 対象年分、提出先、入力内容、添付等 | 提出し、受付結果を確認 |
納付・還付 | 納付方法・期限、口座情報等 | 必要な手続きと結果を確認 |
保存 | 申告書控え、帳簿、証憑、受付結果 | 後から必要なものを取り出せる |
個人事業主の申告準備でよくある質問
年明けまで、何も始めなくても大丈夫ですか?
申告書の作成前でも、書類収集・記帳・申請状況の確認は進められます。年内の目標を「申告書を完成させる」ではなく、「不足資料と未整理の月を減らす」にすると取り組みやすくなります。
会計ソフトを使わずに申告できますか?
国税庁の作成コーナーを使う方法もあります。ただし、申告書へ入力する売上・経費等の集計や、必要な帳簿・書類の保存は別に準備します。自分で行う範囲を知りたい方は、次の記事もご覧ください。[5][11]
2027年の申告で、青色申告の75万円控除を使えますか?
2026年分の申告は、75万円控除への引上げの対象ではありません。2026年分は、要件を満たすと最高65万円です。国税庁は令和8年分までの案内と、令和9年(2027年)分からの改正案内を分けて掲載しています。2027年に提出するという理由だけで75万円を選ばず、対象年分と適用要件を確認しましょう。[5]
まとめ|今月分の資料から、未整理を減らしていこう
2026年分の確定申告は、年内に書類と帳簿を整理し、年明けに決算・控除・認証の準備をそろえ、提出と納付を別々に確認する流れです。月別の計画表で、まだ済んでいない段階から進めてください。
今日始めるなら、直近1か月分の請求書・領収書・明細を集め、未記帳の取引を洗い出してみましょう。判断が必要な取引は確認事項として残し、一つずつ解消していくと、申告直前の作業を減らしやすくなります。
参考にした公式情報
[5]国税庁:個人事業者の記帳・保存(令和8年分まで/令和9年分からを区分)






